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徐波睡眠期持続性棘徐波を示すてんかん性脳症(指定難病154)

じょはすいみんきじぞくせいきょくじょはをしめすてんかんせいのうしょう

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)


※こちらの内容は以下の難病共通になります。
徐波睡眠期持続性棘徐波を示すてんかん性脳症(指定難病154)
ランドウ・クレフナー症候群(指定難病155)

○ 概要
 
1.概要
徐波睡眠期持続性棘徐波を示すてんかん性脳症は、焦点性発作ならびに一見全般性の発作(片側あるいは両側性の間代発作、強直間代発作、欠神発作)を生じ、徐波睡眠時に広汎性棘徐波が持続性に出現し、知的・認知機能の退行の形をとる神経心理学的障害を伴うことが特徴である。関連症候群に、広汎性棘徐波が優勢に出現する部位に対応して、聴覚性言語障害を主徴とするランドウ・クレフナー症候群がある。
 
2.原因
本疾患の30~60%に神経放射線学的異常があり、多種の病変を認めるが、発病にかかわる機序は不明。遺伝子については、現時点において、直接に本疾患との関連が明らかになった遺伝子はない。
 
3.症状
下記の発作と、運動・高次機能障害を認める。
1)臨床発作型
発作は、焦点性運動発作と、転倒につながることもある頻回の脱力あるいは強直性の要素をもつ非定型欠神発作、陰性ミオクローヌスである。
2)運動障害・高次脳機能障害
発症前の神経心理学的機能と運動機能は、基礎疾患のない患者では正常が多い。しかし、徐波睡眠時に広汎性棘徐波が持続性に出現後からは、IQの著しい低下、言語障害、時間・空間の見当識障害、行動変化(多動、攻撃性、衝動性)、注意力低下、意志疎通困難、学習障害、運動失調を含む運動障害、構音障害、嚥下障害などがみられる。広汎性棘徐波が優勢に出現する部位に対応して、聴覚失認に基づく聴覚性言語障害を主徴とするもの(ランドウ・クレフナー症候群)がある。
 
4.治療法
発作に対し、抗てんかん薬(バルプロ酸、ベンゾジアゼピン、エトスクシミンド)やホルモン剤をはじめ種々の薬物が用いられる。各種治療に関わらず、脳波の徐波睡眠時の広汎性棘徐波が持続性の発現・持続に伴って神経心理学的退行あるいは停滞がみられる。病変がある場合は外科的治療も考慮する。
 
5.予後
一部では、脳波改善後も、発作が稀発だが残存する。ただし、発作消失と脳波の改善がみられた患者においても、運動・高次脳機能障害の予後は良くない。行動障害や知的レベルの低下、言語聴覚障害、運動障害が残存することが多い。
 
 
○ 要件の判定に必要な事項
1.  患者数
約400人(徐波睡眠期持続性棘徐波を示すてんかん性脳症及びランドウ・クレフナー症候群の総数)
2.  発病の機構
不明 (先天性あるいは早期の後天性脳病変がみられることはあるが発病にかかわる機序は不明。遺伝子異常が関係するという報告もあり。)
3.  効果的な治療方法
未確立(対症療法のみ。)
4.  長期の療養
必要(運動・高次機能・行動障害が残ることが多い。)
5.  診断基準
あり(研究班作成の診断基準あり。)
6.  重症度分類
精神保健福祉手帳診断書における「G40てんかん」の障害等級判定区分、及び障害者総合支援法における障害支援区分における「精神症状・能力障害二軸評価」を用いて、以下のいずれかに該当する患者を対象とする。
 

 

「G40てんかん」の障害等級

能力障害評価

1級程度

1~5すべて

2級程度

3~5のみ

3級程度

4~5のみ

 
 
○ 情報提供元
「希少難治性てんかんのレジストリ構築による総合的研究」
研究代表者 国立病院機構 静岡てんかん・神経医療センター 院長 井上有史
 
 
<診断基準>
徐波睡眠期持続性棘徐波を示すてんかん性脳症及びランドウ・クレフナー症候群の診断基準
 
1)徐波睡眠期持続性棘徐波を示すてんかん性脳症
A.症状
1.焦点性発作
2.片側または両側性の間代発作、強直間代発作
3.非定型欠神発作
4.脱力発作
5.陰性ミオクローヌス
6.種々の程度の運動障害(失行、運動失調、構音障害など)、高次脳機能障害(知的障害、言語障害、時間・空間の見当識障害、注意障害、学習障害など)、行動障害(多動、攻撃性、衝動性など)がみられる。
 
B.検査所見
1.血液・生化学的検査:特異的な所見なし
2.画像検査:MRIにて多種な病変がみられることあり
3.生理学的検査:脳波で、徐波睡眠(non-REM)期に持続性に出現する両側広汎性の棘徐波の割合(棘徐波の出現持続時間/non-REM 睡眠時間)が高い(50%以上)。
4.病理検査:特異的な所見なし
5.運動・高次脳機能検査:運動検査、聴覚言語機能を含む高次脳機能検査および行動評価により種々の程度の障害を認める。
 
C.鑑別診断
中心-側頭部棘波を伴う良性小児てんかん(BCECT)、レノックス・ガストー症候群を鑑別する。
 
D.遺伝学的検査
直接に本症候群との関連を明らかにした報告は現時点ではない。SRPX2、 ELP4、 GRIN2Aが関連するとの報告がある。
 
E.診断のカテゴリー
小児期の患者でA.症状のうち1項目以上あれば診断を疑い、B.検査所見3、5の双方を満たす場合に確定する。
 
 
 
2)ランドウ・クレフナー症候群
A.症状
1.発症前の発達は正常。
2.聴覚失認、語聾などの聴覚言語障害が思春期まで(概ね2~10歳)に発症。
3.言語能力の退行(感覚失語、時に全失語にいたる)。一部の症例では一過性の改善を示すこともある。
4.てんかん発作の合併は70~80%で、発作頻度は少ない。多くは焦点性発作を呈する。
5.認知障害、行動障害を伴うこともある。
 
B.検査所見
1.脳波検査では棘波、棘徐波を、両側性、全般性に認める。焦点性異常の側性は一定せず、多焦点を呈することが多く、局在は側頭葉が高頻度である。徐波睡眠期はてんかん性発射の頻度が増し、両側性棘徐波が持続して、徐波睡眠期の85%以上を占めることもある。
2.頭部画像検査では視察的評価における形態的な異常を認めないが、機能検査により非対称性、側頭葉の異常が認められることがある。
3.神経心理検査で聴覚失認、言語障害を認める。
 
C.鑑別診断
中心-側頭部棘波を伴う良性小児てんかん、レノックス・ガストー症候群、側頭葉てんかんを鑑別する。非てんかん性疾患としては、末梢性難聴、心理的要因、脳血管障害後遺症などによる失語症、自閉症などと鑑別する必要がある。
 
D.診断のカテゴリー
発達が正常な児童にA.症状2、3を認め、B.検査所見1で確定する。
 
 
 
 
 
 
<重症度分類>
精神保健福祉手帳診断書における「G40てんかん」の障害等級判定区分、および障害者総合支援法における障害支援区分における「精神症状・能力障害二軸評価」を用いて、以下のいずれかに該当する患者を対象とする。

「G40てんかん」の障害等級

能力障害評価

1級程度

1~5すべて

2級程度

3~5のみ

3級程度

4~5のみ

 
精神保健福祉手帳診断書における「G40てんかん」の障害等級判定区分
 

てんかん発作のタイプと頻度

等級

ハ、ニの発作が月に1回以上ある場合             

1級程度

イ、ロの発作が月に1回以上ある場合
ハ、ニの発作が年に2回以上ある場合             

2級程度

イ、ロの発作が月に1回未満の場合
ハ、ニの発作が年に2回未満の場合  

3級程度

 
「てんかん発作のタイプ」
イ 意識障害はないが、随意運動が失われる発作
ロ 意識を失い、行為が途絶するが、倒れない発作
ハ 意識障害の有無を問わず、転倒する発作
ニ 意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作
 
 
精神症状・能力障害二軸評価 (2)能力障害評価
○判定に当たっては以下のことを考慮する。
①日常生活あるいは社会生活において必要な「支援」とは助言、指導、介助などをいう。
②保護的な環境(例えば入院・施設入所しているような状態)でなく、例えばアパート等で単身生活を行った場合を想定して、その場合の生活能力の障害の状態を判定する。
 
 

精神障害や知的障害を認めないか、または、精神障害、知的障害を認めるが、日常生活および社会生活は普通にできる。
○適切な食事摂取、身辺の清潔保持、金銭管理や買い物、通院やでき、服薬、適切な対人交流、身辺の安全保持や危機対応、社会的手続きや公共施設の利用、趣味や娯楽あるいは文化的社会的活動への参加などが自発的にできるあるいは適切にできる。
○精神障害を持たない人と同じように日常生活及び社会生活を送ることができる。

精神障害、知的障害を認め、日常生活または社会生活に一定の制限を受ける。
○「1」に記載のことが自発的あるいは概ねできるが、一部支援を必要とする場合がある。
○例えば、一人で外出できるが、過大なストレスがかかる状況が生じた場合に対処が困難である。 ○デイケアや就労継続支援事業などに参加する者、あるいは保護的配慮のある事業所で、雇
用契約による一般就労をしている者も含まれる。日常的な家事をこなすことはできるが、状況や手順が変化したりすると困難が生じることがある。清潔保持は困難が少ない。対人交流は乏しくない。引きこもりがちではない。自発的な行動や、社会生活の中で発言が適切にできないことがある。行動のテンポはほぼ他の人に合わせることができる。普通のストレスでは症状の再燃や悪化が起きにくい。金銭管理は概ねできる。社会生活の中で不適切な行動をとってしまうことは少ない。

精神障害、知的障害を認め、日常生活または社会生活に著しい制限を受けており、時に応じて支援 を必要とする。
○「1」に記載のことが概ねできるが、支援を必要とする場合が多い。
○例えば、付き添われなくても自ら外出できるものの、ストレスがかかる状況が生じた場合に対処することが困難である。医療機関等に行くなどの習慣化された外出はできる。また、デイケアや就労継続支援事業などに参加することができる。食事をバランスよく用意するなどの家事をこなすために、助言などの支援を必要とする。清潔保持が自発的かつ適切にはできない。社会的な対人交流は乏しいが引きこもりは顕著ではない。自発的な行動に困難がある。日常生活の中での発言が適切にできないことがある。行動のテンポが他の人と隔たってしまうことがある。ストレスが大きいと症状の再燃や悪化を来たしやすい。金銭管理ができない場合がある。社会生活の中でその場に適さない行動をとってしまうことがある。

精神障害、知的障害を認め、日常生活または社会生活に著しい制限を受けており、常時支援を要する。
○「1」に記載のことは常時支援がなければできない。
○例えば、親しい人との交流も乏しく引きこもりがちである、自発性が著しく乏しい。自発的な発言が少なく発言内容が不適切であったり不明瞭であったりする。日常生活において行動のテンポが他の人のペースと大きく隔たってしまう。些細な出来事で、病状の再燃や悪化を来たしやすい。金銭管理は困難である。日常生活の中でその場に適さない行動をとってしまいがちである。

精神障害、知的障害を認め、身の回りのことはほとんど出来ない。
○「1」に記載のことは支援があってもほとんどできない。
○入院・入所施設等患者においては、院内・施設内等の生活に常時支援を必要とする。在宅患
者においては、医療機関等への外出も自発的にできず、付き添いが必要である。家庭生活においても、適切な食事を用意したり、後片付けなどの家事や身辺の清潔保持も自発的には行えず、常時支援を必要とする。

 
 
 
 
 
※診断基準及び重症度分類の適応における留意事項
1.病名診断に用いる臨床症状、検査所見等に関して、診断基準上に特段の規定がない場合には、いずれの時期のものを用いても差し支えない(ただし、当該疾病の経過を示す臨床症状等であって、確認可能なものに限る。)。
2.治療開始後における重症度分類については、適切な医学的管理の下で治療が行われている状態であって、直近6か月間で最も悪い状態を医師が判断することとする。
3.なお、症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該当しない者であるが、高額な医療を継続す
ることが必要なものについては、医療費助成の対象とする。

本疾患の関連資料・リンク

大槻泰介他編。稀少難治てんかん診療マニュアル、pp34-36、診断と治療社、東京、2013。
 
Bureau M、 Genton P、 Dravet C、 Delgado-Escueta A、 Tassinari CA、 Thomas P、 Wolf P編集、井上有史監訳。てんかん症候群-乳幼児・小児・青年期のてんかん学-第5版。中山書店、2014, pp.263-284.
 
別冊日本臨床 新領域別症候群シリーズ No31神経症候群第2版VI,日本臨床社、2014、pp252-255


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情報提供者
研究班名 稀少てんかんに関する調査研究班
研究班名簿  研究班ホームページ 
情報更新日平成29年4月24日