メニュー


HOME >> 診断・治療指針(医療従事者向け) >> 先天性赤血球形成異常性貧血(CDA: Congenital dyserythropoietic anemia)(指定難病282)

先天性赤血球形成異常性貧血(CDA: Congenital dyserythropoietic anemia)(指定難病282)

せんてんせいせっけっきゅうけいせいいじょうせいひんけつ

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

○ 概要
 
1.概要
先天性赤血球形成異常性貧血(Congenital dyserythropoietic anemia:CDA)は先天的に赤血球系細胞に形成異常があり、慢性の不応性貧血、無効造血及び続発性ヘモクロマトーシスを伴う稀な疾患群である。
 
2.原因
Ⅰ型からIII型の3病型に分類される。いずれの型においても家族性と孤発性の両者が報告されている。Ⅰ型は西欧から中近東に多くみられ、2002年に責任遺伝子CDAN1が同定された。II型はCDAの中で最も頻度が高く、2009年に責任遺伝子SEC23Bが同定された。III型は稀な病型で、2013年に責任遺伝子KIF23が同定された。そのほかに亜型とされるものがあり、KLF1異常とGATA1異常を有する例が報告されている。
 
3.症状
(1)慢性の貧血症状:蒼白、哺乳力の低下など
(2)黄疸
(3)体重増加不良
 
4.治療法
従来、赤血球輸血療法、脾摘などが行われてきたが、未だに一定の治療方針は示されていない。造血幹細胞移植が行われることもある。
 
5.予後
2006年に多賀らが行った全国調査で確認されたCDAの12例のうち5例が死亡しており(死亡時年令8か月~15歳)、1例は肝硬変であったが、他はCDAと直接関連しない死因だった。
 
 
 
○ 要件の判定に必要な事項
1.  患者数
100人未満
2.  発病の機構
不明(遺伝子異常が関与している。)
3.  効果的な治療方法
未確立(対症療法が中心である。)
4.  長期の療養
必要
5.  診断基準
あり (研究班作成の診断基準あり。)
6.  重症度分類
Stage3以上を対象とする。ただし、薬物療法を行っていてヘモグロビン濃度10g/dL以上の者は対象外とする。
 
○ 情報提供元
「先天性骨髄不全症の登録システムの構築と診療ガイドラインの作成に関する研究班」
研究代表者 弘前大学 教授 伊藤悦朗
 
 
<診断基準>
 
先天性赤血球産生異常性貧血(CDA)の診断基準
下記a~iにあるような家族歴、既往歴、身体所見、検査所見が見られた場合はCDAを疑い、骨髄穿刺と除外診断、遺伝子検査などを行い、診断確定する。表1に各病型の診断基準を、表2に鑑別すべき疾患を示す。
a.黄疸がある、あるいは黄疸の既往がある。 
b.重度あるいは遷延性新生児黄疸
c.輸血歴、輸血依存性
d.大球性貧血
e.脾腫
f.原因不明の慢性貧血の家族歴
g.四肢、骨格奇形
h.赤血球形態異常
i.上記には該当しないが原因不明の貧血がある。
 
 
  表1.CDA各病型の診断基準

 

 

TypeI

TypeII

TypeIII

遺伝形式

常染色体劣性

常染色体劣性

常染色体優性

責任遺伝子

15q15.1-3
CDAN1

20q11.2
SEC23B

15q21-25
KIF23

貧血の程度

軽度~中等度

軽度~重度

軽度~中等度

赤血球サイズ

大球性

正球性から大球性

大球性

 
骨髄の赤芽球像
 

光顕

巨赤芽球様変化 
2核赤芽球(2~5%),
クロマチン橋

2核-多核の赤芽球(10~40%)

多核赤芽球

異型核赤芽球

巨大赤芽球(10~40%)

電顕

核膜の部分欠損

細胞膜内周の二重膜構造

核膜のスポンジ様構造

核質内への細胞質や小器官の流入

核膜の亀裂や凹凸

Ham 試験

陰性

陽性

陰性

抗i抗原凝集反応

陰性

強陽性

陰性又は弱陽性

 
 
 
 
表2.CDAと鑑別を要する疾患

先天性疾患

 

 

サラセミア

 

不安定ヘモグロビン症

 

遺伝性球状赤血球症

 

ピルビン酸キナーゼ欠損症

 

先天性骨髄異形成症候群

後天性疾患

 

 

ビタミンB12欠乏症

 

葉酸欠乏症

 

鉄欠乏性貧血

 

骨髄異形成症候群

 

飲酒過剰

 

急性骨髄性白血病

 

再生不良性貧血

 

パルボB19ウイルス感染

 

後天性免疫不全症候群(AIDS)

 

マラリア

 

肝疾患

 

抗腫瘍剤投与後

 

骨髄移植後

 
 
注)CDAの診断は高度な判断を伴うため、一施設で決定せず、学会の中央診断委員会などで討議した後に決定されるべきである。例えば日本小児血液・がん学会では先天性骨髄不全症例の病理中央診断(セントラルレビュー)を実施しているので活用可能である。
 
 
 
 
<重症度分類>
Stage3以上を対象とする。ただし、薬物療法を行っていてヘモグロビン濃度10g/dL以上の者は対象外とする。
 

stage 1  

軽 症

薬物療法を行わないでヘモグロビン濃度10 g/dL 以上

stage 2 

中等症

薬物療法を行わないでヘモグロビン濃度7~10 g/dL

stage 3

やや重症  

薬物療法を行っていてヘモグロビン濃度7g/dL 以上

stage 4

重 症

薬物療法を行っていてヘモグロビン濃度7g/dL 未満

stage 5

最重症

薬物療法及び脾摘を行ってヘモグロビン濃度7g/dL未満

 
※診断基準及び重症度分類の適応における留意事項
1.病名診断に用いる臨床症状、検査所見等に関して、診断基準上に特段の規定がない場合には、いずれの時期のものを用いても差し支えない(ただし、当該疾病の経過を示す臨床症状等であって、確認可能なものに限る。)。
2.治療開始後における重症度分類については、適切な医学的管理の下で治療が行われている状態であって、直近6か月間で最も悪い状態を医師が判断することとする。
3.なお、症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該当しない者であるが、高額な医療を継続することが必要なものについては、医療費助成の対象とする。
 

本疾患の関連資料・リンク

小児慢性特定疾病情報センター
http://www.shouman.jp/details/9_3_4.html

特発性造血障害疾患の診療参照ガイド
http://zoketsushogaihan.com/download.html


治験情報の検索:国立保健医療科学院
※外部のサイトに飛びます。s
情報提供者
研究班名 先天性骨髄不全症の診断基準・重症度分類・診療ガイドラインの確立に関する研究班
研究班名簿   
情報更新日平成29年4月24日