皮膚疾患分野|家族性良性慢性天疱瘡(平成24年度)

かぞくせいりょうせいまんせいてんぽうそう
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1. 概要

常染色体優性遺伝を示す皮膚疾患。青壮年期に発症し、間擦部を中心とした小水疱・びらんを特徴的皮疹とする。通常、予後良好な疾患である。

2. 疫学

正確な患者数は不明であるが、男女とも同程度に罹患するとされる。

3. 原因

ゴルジ体の膜上に局在するカルシウムポンプをコードする遺伝子ATP2C1 の変異により生じる。本カルシウムポンプにより、表皮細胞内に水疱を形成する機序などについては明らかにされていない。

4. 症状

青壮年期になると発症する。腋窩・鼠径・頸部・肛門周囲などに小水疱やびらんを生じ、症状は慢性に経過する。温熱・紫外線・機械的刺激・感染などが増悪因子となる。

5. 合併症

皮膚症状に細菌・真菌・ウイルスなどの感染症を併発することがある。他臓器病変は一般的に認められない。

6. 治療法

局所のステロイド軟膏や活性型ビタミンD3 軟膏外用やレチノイド、免疫抑制剤などの全身療法が文献的に使用されているが、その効果に一定の知見はない。対症療法が主体であり、根治療法は見出されていない。

7. 研究班

皮膚の遺伝関連性希少難治性疾患群の網羅的研究