免疫系疾患分野|TNF受容体関連周期性症候群(平成24年度)

TNFじゅようたいかんれんしゅうきせいしょうこうぐん
研究班名簿 一覧へ戻る

1. 概要

近年、国内外で注目されている自己炎症性症候群の一つであり、発熱、皮疹、筋肉痛、関節痛、漿膜炎などを繰り返し、時にアミロイドーシスを合併する事もある疾患です。TNF受容体1型の遺伝子変異が原因ですが、詳しい病態は解明されていません。全身型若年性特発性関節炎や成人スチル病と症状が類似しており、鑑別が重要となる疾患です。

2. 疫学

本邦で約30名の存在が推定されています。

3. 原因

1999年に責任遺伝子としてTNF受容体1型が同定され、常染色体優性遺伝形式をとるものの、孤発例も報告されています。遺伝子変異はTNF受容体1型細胞外領域の特定ドメインに集中しており、受容体の構造変化が病態の形成に係っていると考えられていますが、詳しい機構は不明です。

4. 症状

原因不明の発熱に加え、腹痛、筋肉痛、皮疹、関節痛、結膜炎・眼窩周囲浮腫、胸痛などの症状の内、幾つかを合併します。発熱発作は通常5日以上持続し、長い場合には数カ月続く事もあります。これらの症状は数週間から数年の周期で繰り返されます。

5. 合併症

最も重要な合併症はアミロイドーシスであり、約10%に認められます。その他、筋膜炎、心外膜炎、血管炎、多発性硬化症などの合併が報告されています。

6. 治療法

発作時に副腎皮質ステロイド剤を使用される場合が多いのですが、症状の程度にばらつきがあり、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAID)でコントロール可能な症例から、ステロイド剤に抵抗性を示す症例まで存在します。難治性症例に対し、抗TNF製剤(エタネルセプト)が有効な場合があります。

7. 研究班

「自己炎症疾患とその類縁疾患に対する新規診療基盤の確立」研究班