免疫系疾患分野|化膿性関節炎・壊疽性膿皮症・座瘡(PAPA)症候群(平成24年度)

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1. 概要

1997年に報告された、常染色体優性遺伝形式をとる稀な自己炎症性疾患であり、無菌性化膿性関節炎を臨床像の主体とし、壊疽性膿皮症と囊腫性座瘡を伴う事を特徴とします。

2. 疫学

本邦で1例の確定例があり、数名の潜在患者がいると思われます。

3. 原因

15q24に位置するPSTPIP1遺伝子の変異が原因である事が報告されていますが、詳細な発症機構については解明されていません。PSTPIP1はパイリン(pyrin)に結合する蛋白であり、変異によりこの結合が亢進する事が知られている為、結合亢進により結果的にパイリンの抗炎症作用が減弱する事が原因ではないかと考えられています。

4. 症状

無菌性の化膿性関節炎を主体とし、壊死性膿皮症、囊腫性座瘡を伴います。関節炎は幼少期より発症し再発性ですが、思春期に近づく頃より皮膚症状が前面に出る様になり、10歳前後より無菌性の壊疽性膿皮症が下肢を中心に認められるようになり、再発性で次第に潰瘍性変化が強くなります。思春期以降には囊腫性座瘡を繰り返す様になります。その他、注射部位の膿瘍形成や過敏性腸症候群、アフタ性口内炎が認められます。

5. 合併症

繰り返す関節炎による関節破壊・拘縮が問題となります。

6. 治療法

副腎皮質ステロイド剤が用いられるますが、長期的な使用による副作用の発現が問題となります。抗IL-1製剤や抗TNF製剤の有効例も報告されています。

7. 研究班

「自己炎症疾患とその類縁疾患に対する新規診療基盤の確立」研究班