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(12)代謝疾患分野(別添 留意事項(4)の18疾患分野から選択)メンケス病(平成24年度)

めんけすびょう
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1. 概要

本症は銅輸送ATPase (ATP7A) 遺伝子異常症で、銅欠乏により重篤な中枢神経障害、結合織障害をきたすX染色体劣性遺伝性疾患である。正常では、ATP7Aは肝細胞以外の細胞のゴルジ体膜に存在し、サイトソルからゴルジ体への銅輸送および銅の細胞外分泌を司っている。本症患者では経口摂取した銅は腸管に蓄積し体内に分泌されず、重篤な銅欠乏になる。さらに脳血液関門にも銅が蓄積し、血液から神経細胞への銅輸送が障害され、神経細胞はさらに重篤な銅欠乏になる。銅欠乏により銅酵素(チトクロームCオキシダーゼ、リシルオキシダーゼ、ドーパミンβヒドロキシダーゼなど)の活性が低下し、様々な障害をきたす。

2. 疫学

平成22、23年度の本事業での結果では、10年間で62名の本症患者が登録され、そのうち2名は女児であった。発症率は、全出生児100万人当たり約3.93人、男児出生当たり約8.03人であった。

3. 原因

責任遺伝子である銅輸送ATPase (ATP7A) 遺伝子は23エクソンからなる全長8kbの遺伝子で、ATP7Aは1,500アミノ酸からなる。本症患者でのATP7A遺伝子変異は非常に多彩で、患者により異なる。臨床及び生化学的検査で本症と診断された患者の数%では、全エクソンの塩基配列を調べても変異が同定されない。ATP7A遺伝子のプロモーター領域や未知のプロモーター因子の変異などが想定されるがまだ解明されていない。

4. 症状

生後3カ月頃より低体温、痙攣、発達遅延、体重増加不良、硬膜下出血などで発症する。痙攣は難治性で、退行現象をきたし、全くの寝たきり状態になる。骨粗鬆症が進行し、骨折を起こしやすい。結合織異常による血管壁障害で、血管蛇行や頭蓋内・内臓出血でしばしば致命的になる。巨大膀胱憩室が発症し、憩室破裂により致命的になる場合もある。これらの致命的障害で、多くの本症患者は幼児期に死亡する。

5. 合併症

尿路感染を繰り返す。呼吸器障害が強く肺炎を合併しやすくしばしば致命的になる。血管蛇行により血管壁が脆く、硬膜下出血や膀胱出血などを合併することが多い。骨粗鬆症により骨折を起こしやすい。

6. 治療法

現在、ヒスチジン銅による皮下注射が行われているが、治療開始が生後3か月以降の神経症状が発症してからでは、神経障害に対して全く効果がない。しかし、脳血液関門の病態が未熟な新生児期に銅の皮下注射を開始すれば神経障害は予防できるとされており、発症前の早期診断法が待たれている。しかし結合織異常はヒスチジン銅皮下注射でも予防・改善できない。新規治療法の開発が切望されている。

7. 研究班

Menkes病・occipital horn症候群の実態調査、早期診断基準確立、治療法開発班