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6)耳鼻科疾患分野外リンパ瘻(平成24年度)

がいりんぱろう
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1. 概要

内・外リンパは内耳の中を満たす液体で、それぞれ内リンパ腔、外リンパ腔に存在する。このリンパは内耳特有の液体で、リンパ節などの免疫に関わるものとは異なる。外界の音は空気の振動としてリンパへ伝わり蝸牛有毛細胞を刺激し音として知覚され、またリンパの流動は半規管・耳石器を刺激し平衡機能を司っている。つまり内耳のリンパは、聴覚・平衡機能を司るために決定的に重要な働きをしている。外リンパ腔と中耳や頭蓋内との間に異常な交通(瘻孔)が生じて内耳の生理機能が傷害される疾患を外リンパ瘻と呼び、瘻孔から外リンパが漏出すると症状がより悪化する。漏出部位は、下記カテゴリーAでは外傷、腫瘍や奇形などの発生部位、手術操作部位であり、カテゴリーB、C、Dでは前庭窓、蝸牛窓とよばれる内耳窓、さらに内耳のmicro-fissureなどである。

2. 疫学

外リンパ瘻の分布あるいは規程因子に関する全国的な調査はまだ行われていない。

3. 原因

外リンパ瘻の原因は下記の4つのカテゴリーに大別されている。
A 外傷、中耳・内耳疾患(真珠腫、腫瘍、奇形、半規管裂隙症候群など)、中耳・内耳手術など。
B 外因性の圧外傷、すなわち、爆風、ダイビング、飛行機搭乗など。 (antecedent events of external origin)
C 内因性の誘因、すなわち、はなかみ、くしゃみ、重量物運搬、力みなど。 (antecedent events of internal origin)
D 明らかな原因、誘因がないもの。(idiopathic)

 カテゴリーAは外傷、疾患に伴うもの、そして手術の影響で瘻孔が生じたものである。頻度が高いのは外傷性外リンパ瘻であり、頭部を打撲した際に難聴が発症する、もしくは打撲後しばらくして難聴が発症する、というのが特徴的である。耳かきなど棒状のものを耳の奥へつっこんで発症する中耳外傷性外リンパ瘻も報告されている。内耳に奇形があり、中耳と脳脊髄液腔が交通してしまう外リンパ瘻もある。

カテゴリーB、C、Dは日本の研究者が以前より着目していたもので、世界的にみて我が国の研究が最も進んでいる。自分の体外からの圧力変化の影響で生じたものがB、体の内部から生じたものがC、全く原因がみあたらないものがDに該当する。

4. 症状

外リンパ瘻は難聴、耳鳴り、めまい、平衡障害などさまざまな症状を呈する。進行性難聴、変動性難聴、慢性のめまい症状を呈する場合には要注意である。しかし実際にはそのほかの内耳疾患との鑑別は大変難しく、症状や従来の検査からは確定診断することは不可能であった。

そこでこの問題を解決する方法として、外リンパ特異的蛋白CTPを用いた外リンパ瘻確定診断法が開発されている。この方法では、鼓膜を切開し、中耳に生理食塩水を入れて洗浄しそれを検査することで診断できる。

5. 合併症

耳閉感、頭重患、平衡機能障害による歩行障害など。難聴や、めまい・平衡障害が後遺症として残ってしまうことも多い。

6. 治療法

原因によって治療法が異なる。カテゴリーAではその原因疾患の治療を行う事が治療の第一歩で、同時に瘻孔閉鎖術を行う。
カテゴリーB、C、Dでは以下の治療法を選択する。
★保存的治療法
瘻孔が自然閉鎖する可能性があるので、脳脊髄圧を下げる目的で頭を30度挙上した状態で安静を保ちながらステロイドを使って治療する。
★外科的療法
保存治療で治らない場合や、症状の悪化、変動を示す場合、安静解除で再び症状が出現する場合は、瘻孔閉鎖術、内耳窓閉鎖術を行う。

7. 研究班

遺伝性難聴および外耳、中耳、内耳奇形に関する調査研究