■概念・定義 |
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特発性血栓症は,静脈血栓塞栓症の発症が先天的もしくは後天的な血栓性素因に起因すると考えられるが、その発症原因を特定し得ないものと定義される。先天的血栓性素因により静脈血栓塞栓症を繰り返す病態はthrombophilia (栓友病)とも呼ばれ,これは止血機構の異常により出血症状を呈するhemophilia(血友病)の対義語と理解される。 |
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表1 先天性及び後天性血栓性素因
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一方、これらの機序と異なり、種々の血栓症発症の危険因子(表2) により局所病変がもたらされて血栓が発症する。とくに動脈硬化性病変に伴う脳血栓,冠動脈血栓などは含めないのが本概念を理解する上で妥当であると考える。 |
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表2 血栓症発症の危険因子及び病態
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■疫学 |
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代表的な先天性血栓性素因であるAT欠損症及びプロテインC(PC)欠損症に関し、一般人口における発症頻度はそれぞれ1:2,000~5,000及び1:1,500(優性型)と報告される。また、若年発症の血栓症の約15%は、これらの疾患ならびにプロテインS(PS)欠損症によると報告される。これらの成績は特発性血栓症の範疇にはいる疾患が少なくないことを推測させる。最近の研究(厚生労働科学研究補助金「血液凝固異常症に関する調査研究」平成18年度報告)によれば日本人の静脈血栓症の遺伝要因としてPSのK196E変異が重要であり、この変異は高頻度(一般日本人の55人に一人がヘテロ接合体)にみられることが判明している。 |
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■病因 |
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血栓形成制御には、活性化凝固因子に対する血漿阻害因子、血管内皮細胞において産出されるトロンボモデュリン(TM)や外因系血液凝固阻害因子(TFPI)など多くの因子が関与すると考えられる。これら諸因子の先天性欠損により抗血栓性が低下し血栓塞栓症が発症すると考えられる。血栓症発症との関連が推計学的に有意であるとされるものを 表1に先天性血栓性素因として挙げた。 |
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表3 先天性血栓性素因と考えられるが血栓症発症との関連が明確でない、臨床例が報告されてないもの
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後天性血栓性素因と危険因子との区別は,前述の概念、定義に基づいたものである。抗リン脂質抗体症候群、播種性血管内血液凝固症(DIC)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、溶血性尿毒症性症候群(HUS)などにおいては、全身的な血栓形成制御限界を超える要因が作用して血栓形成傾向に誘導されると考えられ、後天性血栓性素因として分類しうる。一方、高脂血症などの危険因子は、動脈硬化などの血管壁機能の異常をもたらし、その局所で血栓症の発症素地を形成すると考えられるが、その発症は極めて限局された部位であることより区別して考えるのが妥当である。 |
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■予後 |
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特発性血栓症の背景をなす血栓性素因は不均一なものと考えられ、それぞれ予後も異なるものと考えられる。AT、PC、PSなどの先天性欠損症の予後調査において、おもに静脈系の血栓症に罹患し、これらが反復することが明らかにされ、抗凝固療法の継続の必要性が認められる。ときに致死的な肺動脈塞栓症を併発するため、とりわけ複数の静脈血栓発生要因の存在するハイリスク期における有効な予防が予後を改善する上で重要である。 |
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血液凝固異常症に関する調査研究班から |
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特発性血栓症
とくはつせいけっせんしょう
| 研究班名 | 血液系疾患調査研究班(血液凝固異常症) |
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| 情報更新日 | 平成23年8月30日 |




