■概要 |
|
下垂体前葉からは少なくとも7種類のホルモンが分泌されている。ゴナドトロピンと呼ばれる黄体化ホルモン(LH;luteinizing hormone)と卵胞刺激ホルモン(FSH;follicle‐stimulating hormone)の2つの糖鎖を有するペプチドホルモンは,下垂体の同一細胞より分泌される。ゴナドトロピンの生合成や放出は,視床下部において産生され下垂体門脈を介して下垂体に作用するゴナドトロピン分泌刺激ホルモン(LH RH;luteinizing hormone‐releasing hormone)によって調節されている。更にエストロゲンやテストステロンなどの性ホルモンのフィードバック機構によって影響される。また,性的発育に伴ってゴナドトロピンの分泌は増加し,女性では性周期に伴って変化する。加齢に伴う変化も著しい。視床下部や下垂体の障害によって,同年齢の正常人に比較して,ゴナドトロピンの分泌が明らかに欠乏したり,過剰に分泌される病態をゴナドトロピン分泌異常症と称する。 |
ゴナドトロピン(LH,FSH)分泌欠乏症 |
■概念・定義 |
|
視床下部を侵す器質性疾患には腫瘍性病変が多い。代表的疾患は頭蓋咽頭腫と鞍上部胚細胞腫(suprasellar germinoma)である。胚細胞腫は欧米に比較して日本では頻度が高い。他にサルコイドーシス,ヒスチオサイトーシスX,髄膜炎,外傷などが比較的多く認められる。更にリンパ球浸潤を伴った自己免疫性視床下部下垂体炎も稀に認められる。また最近交通外傷が増加する傾向にある。特発性のものでは周産期の視床下部障害が多く,骨盤位分娩や新生児仮死などの病歴が注目される。視床下部と下垂体を連絡する下垂体茎の切断例も存在する。分娩を契機として母親に視床下部病変を生じることもある。家族性LH‐RH単独欠損症は遺伝性のものと考えられる。 機能性視床下部病変は,ストレス,過度の運動,高度のやせや肥満を伴う栄養状態の変化,急激な環境変化,精神神経機能の変化などに伴って生じることが知られている。これらの変化は慢性消耗性疾患に二次的に生じることがある。 下垂体を侵す病変の主要なものには,下垂体腫瘍,炎症,細胞浸潤,出血壊死,転移性腫瘍,自己免疫性下垂体炎などがあげられる。女性では分娩時の大量出血によるシーハン症候群がある。稀に,家族性のゴナドトロピン分泌低下症が認められる。GnRH分泌細胞に働きかけるキスぺプチン、ニューロキニンBやそれぞれのレセプターに異常があるとGnRHの分泌が障害されゴナドトロピン分泌異常が誘起されることも判明している。 |
ゴナドトロピン(LH,FSH)分泌過剰症 |
■概念 |
|
ゴナドトロピンの分泌過剰症は小児では性早熟を主徴とするので中枢性性早熟症(思春期早発症)とよばれる。成人では臨床的に非機能性下垂体腫瘍と考えられているもの(ゴナドトロピン産生腫瘍)も少なくない。 |
1.中枢性性早熟症(思春期早発症) |
|
視床下部障害のなかで,奇形腫による絨毛性ゴナドトロピン(hCG)産生,過誤腫によるLH‐RH産生,胚細胞腫や神経膠腫による思春期発現抑制機構の障害などは性早熟症を呈する。水頭症,脳炎,髄膜炎などの非腫瘍性中枢神経疾患においても性早熟が生じる。基礎疾患のない特発性の例もある。 キスぺプチンレセプターの恒常的活性化を引き起こす構造異常により女子の症例が報告されている。 男児では9歳以前に,女児では7歳以前に二次性徴が発現する。思春期の徴候が出現すると,身長の増加が促進され正常児より高身長を示す。しかし,骨端線の閉鎖が早期に生じ最終身長は低くなる。 |
2.ゴナドトロピン産生腫瘍 |
|
下垂体や視床下部に存在する腫瘍によって産生されるゴナドトロピン(LH,FSH,hCG)又はLH‐RHによって生じるゴナドトロピン分泌過剰症。視床下部腫瘍の中で,胚細胞腫や奇形腫からはhCG,過誤腫からはLH‐RHが分泌されることがある。下垂体腫瘍からは,LHやFSH以外にこれらのホルモンを構成するα‐サブユニットやβ‐サブユニットが産生されることがある。臨床的にはFSH産生腫瘍が多い。成入男子では女性化乳房,閉経期前の成人女性では過少月経が認められる。 |
間脳下垂体機能障害に関する調査研究班から |
|
この疾患に関する関連リンク |
|
HOME >> 診断・治療指針(医療従事者向け) >> ゴナドトロピン分泌異常症(公費対象)
ゴナドトロピン分泌異常症(公費対象)
ごなどとろぴんぶんぴついじょうしょう
| 研究班名 | 内分泌系疾患調査研究班(間脳下垂体機能障害) |
|---|---|
| 情報更新日 | 平成24年3月7日 |





