皮膚疾患分野|先天性及び後天性の難治性白斑・白皮症(平成23年度)

せんてんせいおよびこうてんせいのなんちせいはくはん・はくひしょう
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1. 概要

先天性白斑・白皮症は生後早期より出現し、治療抵抗性であり、しばしば種々の合併症を伴う。確定診断により全身的な合併症の早期発見、早期治療を開始することが患者の生命予後、QOL維持に不可欠な疾患である。さらに先天性の白斑・白皮症が誤診、放置されている場合も多く、合併症などが見逃されている。尋常性白斑・白皮症は全身に白斑を呈する疾患で、白斑の中で最も頻度が高い。その一部は、汎発性、治療抵抗性で、再発頻度も高い難治性の疾患であり、顔面など露出部位に発症した場合には、患者のQOLを著しく低下させ、社会活動も障害する。

2. 疫学

今回の全国調査の結果
・先天性白斑の推定患者数       48,000人                  
・眼皮白皮症の推定患者数     5,300人
・結節性硬化症の推定患者数   17,000人
・後天性白斑の推定患者数       176,000人
・尋常性白斑の推定患者数       153,000人

3. 原因

尋常性白斑の病因としては自己免疫説、自己細胞障害説、末梢神経異常説等が唱えられているが、不明な点も多い。最近では、自己免疫性白斑の疾患感受性遺伝子に注目が集まっており、その解析が進められている。先天性・遺伝性の白斑・白皮症に関しては、眼皮白皮症では一部の症例については病因遺伝子が明らかにされているが、メラニン色素合成の調節機序については未だ多くの点が未知である。結節性硬化症では原因遺伝子TSC1,TSC2の同定はされているが、色素異常の発現に関わる病態は不明である。

4. 症状

全身性あるいは限局性の白斑・白皮症。白毛。弱視、視力障害。

5. 合併症

ワーデンベルグ症候群では感音性難聴を、シェディアックーヒガシ症候群では免疫不全を、ヘルマンスキーパドラック症候群では間質性肺炎、出血傾向などを認める。
結節性硬化症では、心横紋筋腫、脳腫瘍、精神運動発達遅滞、てんかん、自閉症、皮膚腫瘍、腎嚢腫や腎血管筋脂肪腫、肺病変、消化管腫瘍、骨病変などを認める。                                    
伊藤白斑では精神発達遅滞、小脳性運動失調などの神経症状、小頭症、骨筋症状に加えて眼症状を認める。
後天性の尋常性白斑では自己免疫性の甲状腺炎、シェーグレン症候群などの自己免疫疾患、自己炎症性疾患の合併が見られ、NALP1遺伝子との関連性が報告されている。

6. 治療法

尋常性白斑に対しては、ステロイド外用、カモフラージュ、活性型ビタミンD3軟膏、タクロリムス軟膏外用、ナローバンドUVB、外用PUVAさらには種々の植皮術、エキシマレーザ、内服,PUVA 等が施行されるが何れも確立された確実な治療法ではな区、長期安全性も確立されていない。
先天性の白斑の多くは前述の後天性の白斑に対する治療には抵抗性で、有効な治療法がなく一部の白斑において植皮術が施行されているのみである。合併症を伴うものは、その治療が大きな問題となる。      
先天性、後天性いずれの患者においても患者QOLや労働生産性の低下を改善すべく、リハビリや作業療法など種々の試みがなされている。

7. 研究班

白斑・白皮症の本邦における診断基準及び治療指針の確立のための研究斑