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循環器系疾患分野周産期(産褥)心筋症(平成23年度)

しゅうさんき(さんじょく)しんきんしょう
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1. 概要

周産期心筋症とは、心疾患の既往のなかった女性が、妊娠・産褥期に心不全を発症し、
拡張型心筋症に類似した病態を示す特異な心筋症であり、WHOの心筋症の定義と分類では、二次性心筋症に分類されている。最重症例は致死的であり、欧米では妊産褥婦間接死亡原因の上位にある疾患と認識されている。

2. 疫学

新規発症例 約50症例/年、慢性化症例を含めるとおそらく500~1000人。
新規発症例のうち6%が急性期・亜急性期に死亡もしくは心臓移植待機となる。わが国における慢性期予後については分かっていない。

3. 原因

未だ原因不明である。病態が拡張型心筋症に類似していることから、診断基準の項で述べたように、妊娠・出産の心負荷により潜在していた拡張型心筋症が顕在化したものや心筋炎であるという説もあるが、アメリカNIHのワークショップグループにおいて、特発性拡張型心筋症や心筋炎の発症率よりも高率で妊産褥婦に発症することから、妊娠自体が発症に関与している別な病態と結論付けられている。2007年に、異型プロラクチンが発症に関与しているとの報告が出され、注目されている。

4. 症状

発症時は急性心不全症状(呼吸困難、咳、浮腫、全身倦怠感、動悸、ショック、意識障害など)を呈する。急性期治療後、約半数は、心機能が回復して無症状となる。残りの半数においては心機能低下が残存して、その心機能の低下度に応じた慢性心不全症状(労作時息切れ、浮腫、動悸など)の訴えを認める。

5. 合併症

心筋症発症の危険因子として、慢性高血圧症や妊娠高血圧症などがある。心筋症発症時の合併症としては、感染症、心内血栓症、DIC(播種性血管内凝固症候群)などがある。また、妊娠中に発症した際には、死産や、未熟児の出産など、児の合併症も起こりうる。

6. 治療法

心不全に対する対症療法が主である。急性期重症例では、カテコラミンに加えて、IABP(大動脈内バルーンパンピング)、PCPS(経皮的心肺補助装置)が使用され、それでも心機能回復を認めない場合には、VAS(心臓補助装置)を使用して、心臓移植待機となる。慢性期には、ACE阻害剤やARB、β遮断薬、利尿剤などの内服加療が行われる。
以上に加えて、近年抗プロラクチン療法が有効であるとの報告がある。

7. 研究班

周産期心筋症の実態調査と病態・診療研究班