循環器系疾患分野|急性大動脈症候群(平成23年度)

きゅうせいだいどうみゃくしょうこうぐん
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1. 概要

「急性大動脈症候群」は急性大動脈解離及び大動脈瘤破裂・切迫破裂の総称であり、突然発症する生命予後がきわめて不良な病態である。前触れもなく襲いかかる生命予後不良のこの疾患群は救急医療に対して大きな負担をもたらしているのみならず、幸い手術等で救命し得ても後遺症を発症した場合の生活の質の低下は著しく社会的損失も大きい。現在、大動脈解離の発生は予測不可能、瘤破裂に関しても「大動脈瘤径」「瘤形態」「拡張速度」しか予測指標はない。

2. 疫学

正確な統計はないが、一年間に治療を受ける大動脈瘤患者は16000人(破裂・切迫破裂約2500人)、大動脈解離患者は9000人と言われている。

3. 原因

病態は不明であり、我が国におけるこの疾患の実態を明らかにし予測因子や機序解明の基礎研究を実施し、予防治療のための指針を作成することは急務である。研究班では臨床データ解析を行い、リスク素因検討を行い、また、生体試料をもちいた基礎研究・ゲノム解析を併行し、「急性大動脈症候群」に特徴的な大動脈壁破綻・拡張のメカニズム解析を行う。

4. 症状

大量出血に伴い、激しい胸痛、胸背部痛、腹痛、腰痛、意識消失、心肺停止をきたす。

5. 合併症

大量出血に伴う死亡。救命できた場合でも四肢麻痺、多臓器不全となり重篤である。

6. 治療法

現時点では、緊急手術しか救命の方法はない。

7. 研究班

急性大動脈症候群に対する予防治療の指針作成に向けた基礎研究班