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神経系疾患遺伝性脳小血管病(平成23年度)

いでんせいのうしょうけっかんびょう
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1. 概要

脳の小血管を主体とする脳の遺伝性血管病である.本邦ではCADASIL,CARASILが報告されている.その他に,HERNS (Hereditary endotheliopathy with retinopathy, nephropathy, and stroke),HANAC (Hereditary angiopathy with nephropathy, aneurysms and muscle cramps) ,Familial Cerebral Amyloid Angiopathy ,Familial British Dementia が知られている.いずれも本邦でも罹患患者がいると推察される.共通する特徴として大脳白質の虚血性変化を特徴とする

2. 疫学

正確な実数は判明していない1000人以下と考えられる

3. 原因

上記の各疾患について原因遺伝子が単離されている.しかし,病態機序に関しては不明である.CARASILはTGF-βファミリーシグナルの亢進が,背景にあると推察されている.また閉塞性機転のみではなく,血液脳関門の機能障害が背景にある可能性が指摘されている.しかし,何故,TGF-βファミリーシグナルの亢進が脳小血管に特異的な障害をもたらすかはわかっていない.CDASILKは血管壁へのGOM,Notch3の蓄積が知られているが,これと病態との関連は不明瞭である.

4. 症状

すべてに共通する症状は,巣症状を伴わない,いわゆる皮質下性の認知症と,歩行障害を示す.それに加え,各疾患で特徴的な臨床症状を伴う.CADASILでは片頭痛,CARASILでは腰痛,禿頭,HERNSでは視力低下とレイノー現象,HANACでは筋痙攣,CPKの上昇が上げられる.大脳MRIでの広汎な白質障害に加えて,特徴的な臨床症状により,推察するとは可能であるが,確定診断のためには遺伝子診断を含めた解析が必要である.

5. 合併症

症状自体が各疾患によって多臓器に及ぶため,各々の疾患特異的な合併症状をきたすことは前期の通りである.脳と類似したバリア構造をもつ小血管としては,網膜,腎臓などが知られている.各,病態において,網膜,腎臓の合併症は明らかにはなっていない.症例の蓄積と,確実な診断により,各合併症状が明らかになっていくと推察する

6. 治療法

高血圧合併症患者に対しては,その管理が重要である.しかし,これらの患者では血圧は正常のことが多い.一方AT1拮抗剤は降圧作用に加えてTGF-βシグナルの抑制作用を持つことが知られており,本症に対する薬効が期待される.抗血小板剤,抗凝固剤による明かな予防効果は証明されていない.この面からも,本症の病態機序に伴う治療方法の開発が必要である.

7. 研究班

遺伝性脳小血管病の病態機序の解明と治療方法の開発