血液・凝固系疾患分野|先天性角化不全症(平成23年度)

せんてんせいかくかふぜんしょう
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1. 概要

爪の萎縮、口腔内白斑、皮膚の色素沈着をともう先天性の造血不全症候群。これらの3症状を併せ持つ典型例以外にも、多彩な全身症状を呈する症例から血液減少のみみられる場合もある。

2. 疫学

約200人

3. 原因

テロメア長を維持する機能の障害が考えられている。これまで6つの遺伝子(DKC1,TERC,
TERT,NOP10,NHP2,TINF2)の異常が本症の発症に関与することが知られているが、
原因遺伝子が特定されない場合も半数にみられる。

4. 症状

1系統以上の血球減少と骨髄低形成を認める。爪の萎縮、皮膚の網状色素沈着、口腔粘膜白斑症が3主徴であるが、低身長・発育遅延、肝障害、小頭症、小脳失調、頭髪の喪失・白髪、肺病変など全身性の異常がみられることがある。 これらの症状の出現時期は年齢に依存し、出現後は、年齢をおって、重症度が増していく。

5. 合併症

健常人と比較して悪性腫瘍を合併する頻度が高く、通常は20~40歳台に出現する。なかでも、扁平上皮がん、骨髄異形性症候群、骨髄性白血病が多い。

6. 治療法

根本的な治療法はないが、血球減少については、再生不良性貧血に準じた治療法が試みられている。中等症には、蛋白同化ホルモンを投与し、重症と診断された場合には、同種造血幹細胞が選択される。

7. 研究班

先天性角化不全症の効果的診断法の確立と治療ガイドラインの作成に関する研究班