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特発性血小板減少性紫斑病

とくはつせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょう

(認定基準、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. 「 特発性血小板減少性紫斑病 」とは

特発性血小板減少性紫斑病(Idiopathic thrombocytopenic purpura、以下ITPと略します)とは、血小板減少を来たす他の明らかな病気や薬剤の服薬がなく血小板数が減少し、出血しやすくなる病気です。病気が起こってから6ヶ月以内に血小板数が正常に回復する「急性型」は小児に多く、6ヶ月以上血小板減少が持続する「慢性型」は成人に多い傾向にあります。また、血小板数が10万/μL未満に減少した場合、この病気が疑われます。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

厚生労働省の難治性疾患克服研究事業 「血液凝固異常症に関する調査研究」班において平成16年度~平成19年度の4年間の「特発性血小板減少性紫斑病」臨床個人調査票を集計、分析した結果、この病気を患っている患者さんの総数は約2万人であり、新たに毎年約3000人の患者さんがこの病気に罹ると考えられます。

3. この病気はどのような人に多いのですか

小児ITPでは急性型が約75~80%を占め、ウイルス感染や予防接種を先行事象として有する場合が多く認められます。慢性型は成人ITPに多く、原因は特定できないことがほとんどです。上記研究班が行なった平成16年度~平成19年度の4年間の調査では、20~40歳台の若年女性に発症ピークがありますが、これに加えて60~80歳でのピークが認められるようになってきています。20~40歳台では女性が男性の約3倍多く発症します。高齢者では男女差はありません。

4. この病気の原因はわかっているのですか

血小板に対する「自己抗体」ができ、この自己抗体により脾臓で血小板が破壊されるために、血小板の数が減ってしまうと推定されています。しかしながら、なぜ「自己抗体」ができるのかについては、未だはっきりとしたことはわかっていないのが現状です。

5. この病気は遺伝するのですか

ある特定の遺伝子異常によって発症するような疾患ではなく、今までに遺伝家系の報告はありません。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

血小板は、出血を止めるために非常に大切な細胞です。ですから、この数が減ると出血し易くなり、また出血が止まりにくくなり、次のような種々の程度の出血症状がみられます。
・点状や斑状の皮膚にみられる出血
・歯ぐきからの出血、口腔粘膜出血
・鼻血
・便に血が混じったり、黒い便が出る
・尿に血が混じって、紅茶のような色になる
・月経過多、生理が止まりにくい
・重症な場合は、脳出血

ただし、いずれの症状もこの疾患に特異的なものではありません。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

厚労省研究班では「成人ITP治療の参照ガイド2012年版」を公開しています(臨床血液53:433-442,2012)。その大まかな内容は、ITPの患者さんでピロリ菌陽性である場合、抗菌剤でピロリ菌の除菌を行うと半数以上の患者さんで血小板数が増加することから、ピロリ菌が陽性の場合、まず除菌療法を行なうことを勧めています。平成22年にはITPの治療法として、ピロリ菌の除菌療法が正式に保険適用となっています。一方、除菌療法の効果のない患者さんやピロリ菌陰性の患者さんでは、第一に副腎皮質ステロイドが使われ、血小板数や症状をみながら徐々に減量していくのが一般的です。副腎皮質ステロイドが無効な場合や、副作用のために治療の継続が困難な時には、手術で脾臓を摘出することもあります(「脾摘」といいます)。平成23年度よりITPに対して新たな治療薬として血小板増加薬が市販されており、脾摘が無効の時や難治性の場合にはこれらの新薬を試す場合もあります。これらの新薬としては、経口薬であるエルトロンボパグと皮下注製剤であるロミプロスチムの2種類があり、血小板の産生を促す作用を有しており、ITPに対して優れた効果が示されています。しかしながら、これらの新薬はITPの病気を治す薬ではなく、血小板を増加させる薬なので薬を継続して服用あるいは皮下注射する必要があります。その他の治療としては、アザチオプリンやシクロホスファミド、シクロスポリンなどの免疫抑制剤、ダナゾールなどを用いることがありますが、これらの薬剤は適応外での使用となります。また、ガンマグロブリンを使った治療も、一過性の効果しかないことが多いのですが、有効率は高いので、摘脾など手術の前や緊急時などによく用いられます。
さらにITPの治療を行なう上における治療の目標は、必ずしも血小板数を正常にもどすことにあるのではなく、危険な出血を防ぐことにあります。当然、少しの薬で血小板数が正常にもどることが理想ですが、現実的には血小板数を正常化させるには、たとえば副腎皮質ステロイドを用いる場合などでは多量のステロイドを継続して服用する必要があります。これは薬の副作用の観点からは好ましい状況ではないため、血小板数が正常化しない場合は、血小板数を3万/μL以上に維持するのに必要な最小限の薬剤量の使用に留めるべきであることをITP治療の参照ガイドでは勧めています。ただし、手術や外傷などの出血時には血小板数を安全な値まで(たとえば血小板数5万/μL以上)増加させる必要があります。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

小児ITPでは、大部分が急性型で6ヶ月以内に自然に血小板数が正常に戻ることが多く、慢性型に移行するものは10%程度です。成人慢性型ITPでは、約20%は副腎皮質ステロイドで治癒のみであり、副腎皮質ステロイドを減量すると血小板数が減少してしまうため長期のステロイド治療が必要となります。脾摘により、ITPの約60%の方が薬を止めても血小板数が10万/μL以上を維持できるようになります。ただし、それでも残りの約5~20%は治療に抵抗性(あるいは難治性)で、出血に対する厳重な注意が必要とされます。血小板数が3万/μL以上を維持できれば、致命的な出血を来して死亡する例はまれなようです。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

風邪などウイルス感染を契機に出血症状が増悪する場合があるため、出血症状が増悪する場合は主治医に連絡してください。また発熱時に鎮痛剤、解熱剤を使用すると、血小板の機能を弱めるため出来る限り服用を避けることが必要です。血小板数のみにとらわれずに、皮膚に点状出血が増えていないか、口腔内に血腫ができていないかを、患者さん自身で観察して、病気の状態を把握するように努めてください。また、軽い運動は可能ですが、打撲するようなサッカーや剣道、柔道などのスポーツは避けるべきです。

10. この病気に関する資料・関連リンク

「成人特発性血小板減少性紫斑病治療の参照ガイド2012年版」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rinketsu/53/4/53_433/_article/-char/ja/
「妊婦合併特発性血小板減少紫斑病診療の参照ガイド」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rinketsu/55/8/55_934/_article/-char/ja/


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情報提供者
研究班名 血液凝固異常症等に関する研究班
研究班名簿   
情報更新日平成26年12月25日