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自己免疫疾患に関する調査研究

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当研究班は、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus, SLE)、多発性筋炎・皮膚筋炎(polymyositis/dermatomyositis, PM/DM)、シェーグレン症候群(Sjogren’s syndrome, SS)、成人スティル病(adult onset Still disease, AOSD)などの自己免疫疾患に対して、調査研究を行っております。これらの疾患は、原因が不明で病態も多彩であり、治療により病態が抑えられても再発、再燃の可能性も高く、また治療による副作用にも注意しなければならない疾患群です。この中でもSLEは最も患者数も多く、自己免疫疾患の代表的な難病疾患と考えられているため、当研究班としても特にSLEに対する研究を中心として進めております。

まず、班全体の研究として、ゲノム解析があります。疾患に関連した遺伝子を探し出すことは、疾患の発症、増悪に一義的に関与する要因を見出すことですから重要です。最近は、ゲノムに多数存在する遺伝子の個人の違い(遺伝子多型、特に一塩基多型single nucleotide polymorphism: SNP)について、約50万位を選び、その出現頻度の違いを患者群と健常人群で比較して、差のあるSNPは疾患関連遺伝子の近傍にある、という原理に基づくゲノムワイド関連解析(GWAS)が注目されています。当研究班も、SLEに関して我が国を代表するGWAS研究を進めるべく、班員によるSLEのDNA収集を進めています。

臨床的検討では、SLEの腎炎(ループス腎炎)の発生時期が、治療反応性と経過を強く規定し、腎病理所見よりも正確な予後予測を与えるという知見を得ています。また、複数検出される抗リン脂質抗体がどのように診断とかかわるかを「抗リン脂質抗体スコア」を定義することで、総合的に抗リン脂質抗体症候群の診断の確からしさを反映させることが出来ることを示しています。

治療に関する検討では、PN/DM患者に対するタクロリムス使用例の後ろ向き解析と効能追加申請のためのデータ取得を目的とした多施設治験や中~重度の増悪SLE患者を対象とした抗CD20抗体の臨床第Ⅰ/Ⅱ相試験などがあります。

その他、班員は個別研究も推進しています。たとえばSLE症状を自然発症するモデルマウスの腎炎発症早期の腎臓に浸潤しているT細胞の単一細胞からT細胞レセプター(TCR)を規定する2つのmRNAを同定し、その機能を遺伝子導入で再構築することに成功しました。今後これを用いることで、生体内での活性化の状態や病態との関わりが明らかになると思われます。また、SLE患者のT細胞で観察されるTCRゼータ鎖の発現低下の分子機序を明らかにするため、mRNAの安定性に関与する3’非翻訳領域を特定し、ゼータ鎖の発現低下を回復する薬剤を検討しています。

PN/DMについては、抗アミノアシルtRNA合成酵素(ARS)抗体陽性群における、間質性肺炎、筋炎とHLA-DR抗原の関係の検討、シェーグレン症候群については、ムスカリン作動性アセチルコリン受容体(M3R)に対する自己抗体に関する研究、成人スティル病については、末梢血細胞のDNAマイクロアレイによる解析で、IL-18, IFN-γ, TNFなどのマクロファージ活性化に関わるサイトカインの発現増加とミトコンドリアの酸化的リン酸化に関与する分子の発現低下を認め、さらにIL-6阻害療法はこれらの異常を改善することを示しました。