1. TSH受容体異常症とは |
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TSHとは甲状腺刺激ホルモンの略で下垂体から分泌され、甲状腺の甲状腺細胞膜にあるTSH受容体に結合して作用を示します。TSH受容体は細胞の中にあるG蛋白質と呼ばれる蛋白に作用し細胞内の活性物質であるサイクリックAMPを増加させたり、燐脂質やカルシウムを動員して甲状腺ホルモンの分泌を促したり、甲状腺細胞の増殖を刺激するなどの作用をします。このような役割をするTSH受容体に異常が生じた結果、甲状腺の機能が低下したり亢進する場合をTSH受容体異常症と呼びます。従って、単一の疾患を指すわけではありません。 関連ある疾患として、バセドウ病はTSH受容体に対する自己抗体が産生され、この抗体がTSHと同様に受容体に結合し甲状腺を刺激し起こる病気ですが、TSH受容体そのものが異常ではないので、TSH受容体異常症には含めません。 甲状腺の腺腫(腫瘍)の中には、異常なTSH受容体によりTSHがなくても刺激された状態になり、細胞の増殖とホルモン合成の亢進を起こし、血液中の甲状腺ホルモンの過剰による症状がでます。これが機能亢進性甲状腺腺腫です。ごく稀には上記のG蛋白質に異常があり同様の症状がおきることがあります。 生まれつきTSH受容体に同様の異常が起こると、甲状腺組織が肥大し機能亢進症を起こしこれを「非自己免疫性先天性甲状腺機能亢進症」と呼びます。 逆に、TSH受容体の異常によってはTSHが受容体に結合しても刺激されなくなり甲状腺機能低下症(TSH不応症)になります。TSH受容体の遺伝子の二つある遺伝子の片方が正常の場合、症状はないかあっても軽いのですが、両方の遺伝子に異常があると先天性甲状腺機能低下症の原因となります。 |
2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか |
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最も多くみられるのは、機能亢進性甲状腺腺腫の一部の人でみられるTSH受容体異常です。頻度は人口1000人に一人くらいで女性に多く男女比は5-10:1くらいといわれています。50~60歳に多く発見されます。 「非自己免疫性先天性甲状腺機能亢進症」は極めてまれで、1994年にフランスから2家系の報告があっただけで、日本ではまだ報告がありません。 |
3.この病気は遺伝するのですか |
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機能亢進性甲状腺腺腫は遺伝しません。「非自己免疫性先天性甲状腺機能亢進症」は優性遺伝で、「TSH受容体異常による先天性甲状腺機能低下症(TSH不応症)」はほとんどは劣性遺伝をしますが一部は優性遺伝をします。 |
4. この病気ではどのような症状がおきますか |
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機能亢進性甲状腺腺腫では甲状腺の一部に結節を触れ、ごく軽いものから中等度くらいの甲状腺ホルモン過剰の症状(甲状腺中毒症)を示します。 「非自己免疫性先天性甲状腺機能亢進症」ではやはり軽症から重症の甲状腺ホルモン過剰による症状を示します。 TSH受容体異常による先天性甲状腺機能低下症(TSH不応症)では血中のTSHのみが軽度高い値を示すものから重症の甲状腺ホルモン欠乏による症状を示すものまであります。 |
5. この病気にはどのような治療法がありますか |
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機能亢進性甲状腺腺腫は手術で機能亢進している組織を摘出するか、放射性ヨードを効率よく取り込むことを利用した放射性ヨードによる治療が行われます。非自己免疫性先天性甲状腺機能亢進症に対しては、バセドウ病に対するのと同様に抗甲状腺剤・放射性ヨード・甲状腺摘除手術による治療が行われる可能性がありますが、これまでの報告が少ないので、どの治療が最も効果的がまだ判断できません。 TSH受容体異常による先天性甲状腺機能低下症では甲状腺ホルモン製剤を服用する「甲状腺ホルモン補充療法」が必要になります。 |
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TSH受容体異常症
TSHじゅようたいいじょうしょう
| 研究班名 | 内分泌系疾患調査研究班(ホルモン受容機構異常) |
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| 情報見直し日 | 平成23年7月8日 |





